2020度,2021年度高校三年生の学年は、入試改革諸制度導入にまつわる混乱、そして、コロナ禍による混乱と、自分たちではコントロールすることができない事柄に翻弄された学年です。一方で、普通に過ごしていては気が付くことが出来なかったかもしれない、様々な支えの中で、自分たちが生きているということに気付かされた学年でもありました。例年とは大きく異なる状況下ではありますが、本校生徒諸君は、困難な時だからこそ、自分たちを支えてくださっている方々への感謝を忘れず、試験に臨んでください。
以下、鬚からのメッセージです。
明日,いよいよ国公立大学前期日程試験が始まります。自分が大学進学を志してから努力を重ね,明日という日を迎えるにあたって,もしかしたら不安な気持ちを抱えている人もいるかもしれません。勝負に絶対はありません。まさにここが正念場です。君たちが,不安な気持ちを抱えたまま,時をすごすのか,あるいは,不安な気持ちを乗り越えて最高の状態で明日にのぞむのか…
君たちは今,試練の中にいます。そして,これからの人生は試練の連続です。これは間違いないでしょう。試練の中にいて,その場で立ちすくんでしまうのか,試練を自覚し,挑戦し続けることで輝かしい未来を生きるのか… そう,試練を克服することだってできるのです。一歩一歩です。しかし,私たちはもう力を貸すことはできません。勝負の場では一人で戦うしかないのです。
君達の顔をみて思い出すに,私も浪人時代,目に見えない未来を不安に思い,試練に背を向けて無為に時間を使ってしまった後悔を抱えています。もっと毎日出し切って勉強できたのではないか… あのとき,さぼっていなければ…… 数えだしたらきりがありません。でもあのときに戻ることはできません。つまり,人は年をとるにつれ、取り返せないものが多くなっていきます。そして,失って初めて,それが自分にとってかけがえの無いものであったことに気付くのです。それは日常の一歩一歩の中に何気なくあるものだと。
私はラグビーというスポーツを通して多くを学びました。ラグビーでも人生においても、おかす過ちはその時は気付かないほど小さいです。しかし、半歩遅くても早くても失敗はおこる。半歩遅くても早くてもボールを取りそこなう。大事な一歩はあらゆる場所にあるのです。試合の一瞬のチャンスに… 一分一秒ごとにあるのです。私たちはその一歩を勝ち取るために戦うのです。私たちは全力で、その一歩一歩に死力を尽くし、その一歩一歩を這い進みます。なぜなら私たちは知っているからです。その一歩一歩を勝ち進んでいくことが勝利か敗北かを決めるということを。どんな戦いでも、喜んで仲間のために犠牲になれる人間,自分の利益の為でなく,友の為にチームの為に,社会の為に惜しみなく身体を張れる人間がその一歩を勝ち取ることができるのです。それが生きるということだと思います。
今まさに、君達の目の前には,その一歩があります。不安を抱え,その場で立ちすくむのか,勇気を持ってその一歩を踏み出すのか… だれも強制はしません。不安な気持ちもあるでしょう。そんな時は,共に歩んできた仲間の顔を思い出してください。この3年間で失敗と挫折を恐れず「雄々しく強く」挑戦し続けていくことで最大限に鍛え上げた能力と,友と交わり,共に学び,喜び,互いに正々堂々と向き合い,支えあうことで磨きあげた人間性を,自分の利益の為でなく,友の為に,チームの為に,そして社会の為に惜しみなく発揮することができる男がいるはずです。
それが,これから先,ある瞬間が来たときにお互いが仲間のために,チームの為に自分を犠牲にすることができると心の底から信じることができる,かけがえのない友なのです。
明日から全国で勝負に臨もうとしている諸君,君たちは目標に向かって,様々なものを我慢して努力を重ね,明日という日を迎えているはずです。また,同じ志を持った友との時間を既に手に入れています。これらは人生の宝です。その宝を胸に,試練から目をそむけず,一歩一歩這い進むような歩みでもいい,「男らしく強く」,戦ってきてください。
鬚
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