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「Basic」って何?(3)

「システム英語長文」がおかしいという話をしています。前回は訳語が変だという話をしました。今回は2 Schools in the United Statesの第1段落の和訳を見てみましょう。
Education has been called America’s religion.  One-half of all the people in the country between the ages of eighteen and twenty-five are enrolled in either a college or university; all boys and girls up to age sixteen are required to go to school.  Education is an enormous (and expensive) part of American life.  Its size is matched by its variety.  The widely different educational systems and possibilities are as difficult for outsiders to understand as anything about American life.
教育はアメリカの宗教だと言われてきた。18から25歳の全国民の半数が単科大学か総合大学に在籍している。16歳までのすべての少年少女は学校に通わなければならない。教育はアメリカの生活の大きな(そして費用のかかる)部分である。その規模に応じて多様でもある。その多様な教育制度と可能性は、アメリカの生活の中でも他の何にも劣らず外部の人間が理解しにくいことである。
まずこの和訳には主語がありません。これでは規模に応じて何が多様なのか分かりません。そして、テーマが代名詞化しますから、「その規模」というのは「教育規模」のことだと思われます。でも次のits varietyも「その多様性=教育の多様性」のはずなのにitsの訳語が脱落しているのはどうしてでしょうか?訳語が揺らぎすぎています。
概して日本語で「教育規模」という言葉は大学の数を問題にしている文脈で出てきます。日本は大学を作りすぎてしまい、ほとんどが定員割れを起こしてます。このままでは国立大学も倒産すると言われています。でも、この英文はアメリカの教育がテーマですから、its sizeは「大学の数」とか「学校の数」の意味ではないはずです。そんな詳細で瑣末なテーマを論じているはずがありませんからね。
このits sizeというのは「規模」ではなくて「重要性」の意味でしょう。matchは「一致させる」とか「釣り合わせる」の意味の「させる系の他動詞」です。だから「A is matched by B」の受け身になっても受け身の訳は付かず、「AはBと一致する」とか「AはBと釣り合っている」の能動態の訳語を付けます。すると、「教育の重要性は教育の多様性に一致する」、「教育の重要性は教育の多様性と釣り合う」が原義だと分かります。要は、「アメリカで色んな教育が提供されているのを見れば、教育がいかに重要かが分かる」と言いたいわけです。こう訳すと、次のThe widely different educational systems and possibilitiesともつながります。あ、このtheは周知のtheですから「我々アメリカ人なら皆が知っている」くらいの意味です。itsやtheを何でも「その」と訳すのは止めましょう。
こう考えてきても分かるように、この英文はあまり具体的ではありません。「教育の重要性」とは言わず「教育の規模」と言うわけですからとても比喩的です。これを「Basic」に分類するのはどうかと思います。

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