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考えると言うこと(1)

その医者が面白いことを言います。「受験というのは、出題者が求めている解答にいかに効率よくたどり着くかが重要なのだから、結局子供たちは物を考えなくなる。出てくる解答はどれも金太郎飴のように無個性で、面白みなんてないだろう。そんな子供たちに物を考えて英語で書かせるなんてできるのか?」と。
これを聞いて思い出したのが、随分前に読んだ小林秀雄の『考えるヒント』の一節です。曰く、「考えるとは、合理的に考える事だ。どうしてそんな馬鹿げた事が言いたいかというと、現代の合理主義的風潮に乗じて、物を考える人々の考え方を観察していると、どうやら、能率的に考える事が、合理的に考える事だと思い違いしているように思われるからだ。当人は考えている積りだが、実は考える手間を省いている。そんな光景が到る処に見える。物を考えるとは、物を掴んだら離さぬという事だ。」(文春文庫『考えるヒント』-良心)
日本語の「合理性」という言葉の中には「無駄がなくて能率的てある様」という意味があって、小林秀雄の言ってることは間違っているんじゃないかと感じる子もいると思います。でも、元々合理性は「理性に合っている」が原義で、理性は論理とほぼ同義ですから、「論理に合うこと」くらいの意味だと分かります。だから小林秀雄は、論理的に物を考えられること、きちんと筋道立てて推論できることを「合理的」と言っているわけです。ちなみに、英語のreasonabilityやreasonableness、あるいはrationalityの中には能率的だとか無駄のないという意味はありません。その意味でも、小林秀雄が「思い違いをしている」と言ってるのは正しいわけです。
The doctor said something interesting. “When you take an exam, the important thing is to give the answers the people who made the exam want as efficiently as possible. Exams don’t require kids to think for themselves. The answers are all the same–like cookies made with the same cookie cutter. Can you have kids who are used to studying for exams like that write their original thoughts about something in English?”
This reminded me of a passage from a book I read a long time ago by Hideo Kobayashi called Kangaeru Hint (Hints for Thinking). He wrote, “Thinking means thinking reasonably. You may ask why I want to say such a stupid thing. It’s because when I observe people who think about things blindly following today’s rationalism it seems they have the wrong idea that thinking efficiently is tantamount to thinking rationally. These people intend to be thinking, but actually they are omitting the trouble of thinking. This is a sight I see everywhere. Thinking means to grasp something and not let go.”
Within the Japanese word gorisei (reasonableness, rationality) are the meanings of efficiency and no waste, so some students wonder whether what Hideo Kobayashi is saying is wrong. But the original meaning of gorisei is “to agree with reason.” “Reason” has virtually the same meaning as “logic” so gorisei can be understood as meaning “to agree with logic.” So Hideo Kobayashi uses the term “reasonably” to mean thinking logically, to base reasoning on logic. By the way, the English words reasonability, reasonableness, and rationality don’t contain the meanings of efficiency and no waste. In this sense also, Hideo Kobayashi is right to say “it seems they have the wrong idea.”

5 Comments

  1. あかさたなは wrote:

    突然すみません
    元4G 現5Aのものです。
    薮下先生に質問なんですが、
    分詞構文による付帯状況の用法と
    withによる付帯状況の違いがいまいちわからないので、説明おねがいします。

    月曜日, 7月 3, 2017 at 5:54 PM | Permalink
  2. yabu wrote:

    あかさたなは君!なかなか良い質問です。これについてはここ(ReadingDrill別冊・進研模試解説(4))で一度解説をしています。検索窓で探してみてください。あれ?前に一度「あかさたな」君から質問があったような気がするのですが、「は」が増えてますね!

    月曜日, 7月 3, 2017 at 7:58 PM | Permalink
  3. あかさたなは wrote:

    ありがとうございます!
    よくわかりました!

    また、かなり基本的な質問で恐縮ですが
    分詞構文では、主語が一致していると主語を省略しますよね。
    付帯状況のwithで主語が一致する場合はありますか?
    また、その場合主語は省略しますか?

    月曜日, 7月 3, 2017 at 10:19 PM | Permalink
  4. yabu wrote:

    あかさたなは君!質問の内容が基本的であればあるほど大切で説明するのが難しいのです。だから、質問内容が基本的だからと言って、ためらわないことですね。逆に、基本的なことを上手に説明してくれている参考書はありませんからね。今回の質問もとっても良い質問です。
    付帯状況のwithですが、「with+O+C」の形で「O=Cの状況が一緒にある」が原義ですから、Oが省略されることは絶対にありません。省略がないという意味で、付帯状況分詞構文よりも読みやすく、使いやすいわけです。

    火曜日, 7月 4, 2017 at 1:51 PM | Permalink
  5. あかさたなは wrote:

    ありがとうございます!

    今後も質問すると思うのでよろしくお願いします!

    火曜日, 7月 4, 2017 at 5:34 PM | Permalink

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