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夏のアブラゼミ 第18日目 A of Bを超キレイに訳出するには⑨

「夏のアブラゼミ」の18日目です。あ、今年は9月1日が日曜日なので、今日が夏休みの最後でしたね。なんだか1日儲かった気分です。さて、今日は大阪大学の下線部後半の青い部分を考えましょう。
【問題】
As a beginning we should try to clarify our thinking by looking, in some historical depth, at the presuppositions that underlie modern technology and science.  Science was traditionally aristocratic, speculative, intellectual in intent; technology was lower-class, empirical, action-oriented.  The quite sudden fusion of these two, towards the middle of the nineteenth century, is surely related to the slightly prior and contemporary democratic revolutions which, by reducing social barriers, tended to assert a functional unity of brain and hand Our ecological crisis is the product of an emerging, entirely novel, democratic culture.  The issue is whether a democratized world can survive its own implications.  Presumably we cannot unless we rethink our axioms.
<大阪大学>
【解説】
まず、下線部最後のA of Bの用法、a functional unity of brain and handですが、「脳と手の機能的統一性」とやると何が言いたいのか良く分かりません。これもunityがuniteという動詞から由来する名詞なので「BがAする」とやった方が日本語としてキレイです。そして、なによりも採点官の心証が違います。A of Bをキレイに訳出すれば、もしかすると単語のちょっとした訳語ミスなんか勘辨してくれるかも知れません。
脳と手と機能的に一体であること
a functional unity of brain and hand
tend to~はhave to~と同じ助動詞記号ですから、直後のassertが動詞、それに味付けしているのが助動詞のtend toだと考えると簡単です。あ、「be~to」や「~to」を助動詞記号だとする考え方はここを参照して見てください。
主張する傾向があった
tended to assert
さて、関係代名詞を消して、先行詞飾りの文の中に戻してやると、飾りの文を完全文として独立させることができいます。こんな具合です。
⊿彼はこの近所に住んでいる医者です。
He is a doctor who lives near here.
・・・
その医者はこの近くに住んでいる。
The doctor lives near here.
そして、前の言いたい部分に続けて、飾りの文を独立して訳出する手法を「訳し下ろし」と言いました。中学校以来お馴染みの「訳し上げ」と比べて見ましょう。あ、言い換えると「訳し上げ」は長い飾りを先に訳す手法、「訳し下ろし」は長い飾りを後から訳す手法です。
彼はこの近くに住んでいる医者です。[訳し上げ]
He is a doctor who lives near here.
彼は医者です。そして、彼はこの近くに住んでいます。[訳し下ろし]
He is a doctor, and he lives near here.
「彼」は別に「その医者」でもかまいません。関係代名詞もしょせんは「接続詞」と「(代)名詞」の2つの働きをもった合成語だから、訳出するときは「接続詞+(代)名詞」で「訳し下ろし」てやっても問題はありません。「訳し下ろし」と「訳し上げ」で意味が変わってしまうのはここでやった様な場合だけですからあまり心配は要りません。ま、中学で習った様な英文は関係代名詞が導く飾りがそんなに長くはないので、「訳し上げ」ても「訳し下ろし」ても、大差はありませんがね。
それに対して、下線部の様な関係代名詞節は「訳し下ろし」をしないと何が言いたいのか分からなくなってしまいます。こんな具合です。
【訳し上げ】
科学と技術とが19世紀の中頃まったく唐突に融合したのは、それよりもちょっと前か、同時期に起こった、脳と手とが機能的に一体であること主張する傾向があった民主革命と間違いなく関係している。
なぜ「訳し上げ」ると分かりにくのかというと、「民主革命」に2つのとても長い飾りが付いているからです。青い部分がその長い飾りです。これじゃまるで落語の一節と同じで、「銭湯で石けんに足を滑らせて湯船の角で頭を打って卒倒したオヤジ」みたいなものです。飾りが短くても長くても全部名詞の前に付く日本語の性質を逆手にとって人を笑わせていますね。落語なら笑って済みますが、入試の答案はそうは行きません。じゃあ、今度は「訳し下ろし」てみましょう。言い換えると、関係代名詞の直前で一度文を「。」で終わらせて、接続詞and、but、becauseで文をつなげて、先行詞を飾りの文の中の戻してやって飾りの文を独立させて訳してやります。
【訳し下ろし】
科学と技術とが19世紀の中頃まったく唐突に融合したのは、それよりもちょっと前か、同時期に起こった民主革命と間違いなく関係している。そして、その民主革命は脳と手とが機能的に一体であること主張する傾向があった
ね!こっちの方がはるかに分かりやすいでしょ!あ、コンマ-コンマの挿入句がありましたね。
社会的障壁を低くすることによって
by reducing social barriers
この「社会的障壁」と言うのが、前にやった科学と技術を隔てている壁のことで、「科学はとことん伝統的に貴族のもので、理論主義的で、知識を重視していたのだが、技術は下層階級のもので、経験主義的で、行動を重視していた」って言ってたあれです。じゃあ、下線部の訳をまとめておきます。
【全訳例】
科学と技術とが19世紀の中頃まったく唐突に融合したのは、それよりもちょっと前か、同時期に起こった民主革命と間違いなく関係している。そして、その民主革命は、社会的障壁を低くすることによって脳と手とが機能的に一体であること主張する傾向があった。
ところで、この訳語を読んで著者が何を言いたいのか分かりますか?これが分からないと、ちょっと大学に行ってもやることがありません。今の内に、先人達が何を考えて今に至っているかを、言い換えると「知の歴史」を勉強しておく必要がありますね。明日から2学期が始まります。開始当初のバタバタが収まるまで、「アブラゼミ」はお休みします。落ち着いたら大阪大の後半をやっつけましょうね。

2 Comments

  1. wrote:

    藪下先生のこちらのサイトは本当に素晴らしくて毎日更新されるのを楽しみに待っています。私は将来高校の英語教師になって今の英語教育を変えてみんなが英語が話せるだけでなくコミュニケーションの手段として活用できる環境を作っていきたいと思っています。現在18歳で大学ではイギリス文学や文法生成論など様々な分野に取り組んでいます。またアルバイトで小中高生に集団・個別の指導を熱心にしています。教えることの楽しさは毎日感じているのですが、その反面まだ高校生になると英作文の添削をしっかりできるかというと自信はありません。私は高校のとき習った英語の先生が英語は熟語のようにして全部覚えておけばそれで点数がとれると言われました。しかし、私はその考え方では応用できるわけないと勉強したり、友達が英語などを私に質問してきたとき思いました。なぜここにこの前置詞を使うのかなど。私はそこからそういった理屈や文構造を自分なりに考えるうちに英語が楽しくなり飛躍的に伸びた記憶が今でも鮮明に思い出せます。しかし、藪下先生の書いてあることを見ると自分の理解していたことの内容がもっと詳しく謎が解けたように目から鱗のような内容で圧倒されます。ぜひ先生に一度会って英語のお話や英語教育に関して話してみたいです。良かったらお返事を下さい。

    水曜日, 12月 25, 2013 at 12:08 PM | Permalink
  2. wrote:

    お互いに頑張りましょうね!

    水曜日, 12月 25, 2013 at 7:27 PM | Permalink

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