Skip to content

AKB47君の憂鬱(10)

<質問>
以下は2006年度の京都大学・大問Ⅰの英文からの抜粋と、その部分の赤本の和訳です。    
It was not that these philosophers had ceased to pay any attention to a distinction between kindness and ridicule, success and failure.  They had merely settled on a way of responding to the darker half of the equation that owed nothing to the traditional honour code, and its suggestion that what others think of us must determine what we can think of ourselves, and that every insult, whether accurate or not, must shame us.
    これらの哲学者たちが親切と冷笑、成功と失敗の区別に注意を払うことを止めたと言うことではない。彼らは物事の陰の側面に応えるという方法を選んだだけなのだ。その方法は、従来の倫理規定にも、またそれが示唆しているような、他人が我々をどう思うかで我々が自分をどう思うかが決まるのだとか、正確であろうがなかろうが、すべての侮辱が我々を辱めるのだといったことがらにも、何の関係もないのである。
  赤本はa way of responding to Aを「Aに応えるという方法」と訳してますが、way of doingは「~するための方法」だから、これは「Aに対処するための方法」が正しいのではないのでしょうか。仮に僕の考えが正しくて「事物の陰の側面に対処するための方法」だとしても、これでは意味不明で、何を言っているのか分かりません。明晰判明なご説明をよろしくお願いします。
<回答>
お、久しぶりの「明晰判明」ですね!なぜまた京都大学の問題に戻ったのかは聞かないことにします。それにしても、ずっと全訳をやっているのは感心です。
さて、ご質問のa way of responding to the darker halfですが、このA of Bingは君の言うとおりで、同格ではありません。同格のofはこんな具合でした。
彼が学生であるという事実
the fact of his being a student
A of Bingの形になってなくても、the city of Rome(ローマという都市)という同格表現もあります。同格というのは読んで字のごとくA = Bの関係が成り立っていて、「BというA」、「A、すなわちB」などの訳語が当てはまる表現のことを言ってます。でも、a way of respondingが「あるやり方、すなわち対処すること」の同格関係にあるとはとても考えられませんよね。これは君の言う通り「対処するための方法」、または「対処法」です。
この下線部でいちばん分かりにくいのはthe equationでしょうね。theが付いているので、著者と読者との間に共通認識がすでに出来上がっていることがわかります。ならば、段落冒頭文とこの下線部とは同格関係にあって、the equationのことが冒頭文ですでに述べられているはずです。そう思って読んでみると、kindness and ridicule, success and failureという意味の対立する言葉が並んでます。このように相対立する概念を「A対B」の形で述べることをequilibrium (=equally balanced state)と呼ぶのですが、これを指して著者はequationという語を使っていると推察されます。
文章全体の趣旨も、人が哲学者を評するときに、それが思いやりに満ちたもの(kindness)でも、意地の悪いあざけりであっても(ridicule)、理性で判断して正しいのなら受け入れ、間違っているのなら排除すると言っています。だから、下線部は、「哲学者たちは、自分たちの悪い評価に対する対処法をただ決めてしまったにすぎない」となります。ま、赤本の「彼らは物事の陰の側面に応えるという方法を選んだだけなのだ」はちょっとひどい訳ですね。「物事の陰の側面」ってところが哲学っぽくてとっても素敵ですが、何のことだかさっぱり分かりません。

Post a Comment

Your email is never published nor shared. Required fields are marked *
*
*

*