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AKB47君の憂鬱(8)

<質問>
以下は2007年度の大阪大学・大問Ⅰ(B)の英文からの抜粋と、その部分の赤本の和訳です。
Communication is far more than speech and writing.  Most of us are unaware that we are communicating in many different ways even when we are not speaking.  The same goes for other social animal species.  We rarely learn about this mostly non-verbal communication in school even though it is very important for effective interaction with others.  Growing up in a society, we learn how to use gestures, glances, slight changes in tone of voice, and other auxiliary communication devices to modify or emphasize what we say and do.  We learn these highly culture-bound techniques over years largely by observing others and imitating them.
  意志の疎通とは、しゃべったり書いたりすることをはるかに超えたものである。我々のほとんどは、話していないときでさえも多くのさまざまな方法で意思疎通をしていることに気づいていない。同じことが、集団で生活する他の動物の種にも当てはまる。このような、ほとんど言葉を用いない人間の意思疎通は、他人との効果的なやりとりのためにとても重要ではあるが、我々がそれについて学校で学ぶことはめったにない。社会の中で成長しながら、我々は言ったことややったことを修正したり強調したりするために、身振り、目配せ、声の調子のわずかな変化、そして他の補助的な意思疎通の手段をどのように利用するかを学んで行く。我々は、文化と強く結びついたこのような技術を、主に他人を観察してまねることにより、何年もかけて学ぶのである。
下線部のto modify or emphasize~のtoですが、赤本は『to不定詞は前の名詞にかけて「~するための」と解釈することもできる。また、不定詞以下を訳し下ろすこともできる』と言ってます。質問ですか、この「訳し下ろす」ってどういうことでしょうか?
<回答>
あれ?君はいつから阪大をやっているのですか?もしかして、京大の問題を全部やってしまったのでしょうかね?確か25年分あった気がするのですが。もし君がそれを全部やってしまったとすれば、君はただ者じゃないですね!
さて、ご質問の「訳し上げ」、「訳し下ろし」ですが、これは君も知らないうちにやっている訳出技法のことですよ。例えば、関係代名詞の制限用法では「訳し上げ」を、非制限用法では「訳し下ろし」をやってるはずです。こんな具合です。
彼には医者をやっている2人の息子がいる。(訳し上げ)
He has two sons who are doctors.
彼には息子が2人いる。そして、2人とも医者をやっている。(訳し下ろし)
He has two sons, who are doctors.
ここから、「訳し上げ」が、鯉の滝登りよろしく文の流れに逆らって、飾りから先に訳して飾られる名詞に戻ることを指していて、「訳し下ろし」が、京都保津川下りよろしく文の流れに乗って、飾られる名詞からその飾りへ順なりに訳して行くことを指していると分かります。そして、ここが大切なのですが、制限用法はちゃんと「訳し上げる」ことで、非制限用法はちゃんと「訳し下ろす」ことで、関係詞の用法がしっかり理解できていることを君は採点官に伝えることができるのです。逆に、そうしなければ、君は1点も得点できないわけです。言ってみれば、受験英語は採点官を納得させることが最優先なのですよ。
さて、AKB47君は英文和訳の勉強をしてるとき、正解の日本語訳に違和感を持ったことがありませんか?正解冊子の日本語にはなんだか不自然な表現が多いですよね。例えばこんなやつです。
⊿教授は僕が今題名を思い出せない本について述べた。
The professor mentioned a book the title of which I can’t remember now.
制限用法の関係代名詞は普通、「訳し上げ」て和訳するので、「僕が今題名を思い出せない本」の訳語がふられています。でも、この和訳は時間が錯綜していて「思い出せない本のことをさっき話した」になってるし、「教授は僕が今題名を思い出せない・・・」まで読んだとき何が言いたいのかさっぱり分からないですよね。そんなときは、制限用法なのだけど「訳し下ろす」と自然な日本語になることがあります。こんな具合です。
⊿その教授はある本について語ったのだが、僕はその本の題名を今は思い出せない。
ね!とっても自然な日本語でしょ。でも、これは翻訳英語の技法なのであって、受験英語とは全くの別ものなのです。言い換えると、受験英語ではこんなプロの翻訳家が使うテクニックなんて少しも要求されてはいないわけです。さっきも言ったように、受験では君が関係詞の用法をちゃんと理解していることを採点官に納得させなければなりません。もし制限用法を「訳し下ろし」てしまったら、たとえそれがどんなに流ちょうな日本語訳でも、君の関係詞の理解度を採点官にアピールすることはできないのです。
おそらく、赤本の著者は「社会の中で成長するにつれて、身振り、目配せ、声の調子のわずかな変化、またそれ以外の補助的な意思疎通の手段の利用の仕方を学んでゆくことで、自分の言ったことや、やったことを修正したり強調したりすることができるようになるのだ」と訳し下ろすこともできると言いたかったのでしょうが、これでは「目的」を表す不定詞の副詞用法が分かっていることを採点官にアピールすることはできないのです!その意味で、赤本はとても無責任ですね。
あ、この「アピール」という和製英語にも注意が必要ですよ!日本人は自分のことを売り込むときに、「自分をアピールする」と言いますが、英語のappealは動詞では「懇願する」とか「控訴する」、名詞では「懇願」とか「魅力」の意味で使います。こんな具合です。
彼の魅力はユーモアのあるところです。
His appeal lies in his sense of humor.
僕は警察に保護を求めた。
He made an appeal for help to the police.
もし「自分を売り込む」と言いたいのなら、promoteを使ってこうします。
君は自分のことをもっと売り込んで良い。
You should make more effort to promote yourself.

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