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森田君の挑戦(37)

<問題>
2008年度・京都大学・Ⅲ(2)
コンクリートの建物に囲まれ、機能第一主義の無機質な都会で生活していると、鳥や虫の鳴き声に耳をすませたり、名も知らぬような草木に目をやったりしながら、季節の微妙な移り変わりを実感するようなことがめっきり少なくなってきたように思う。もっと心に余裕を持ち、一回きりのかけがえのない人生をうるおいのあるものにしたいと考えて、田舎に移住することを決断する人が近年増えてきているのも無理からぬことである。
<答案>
Surrounded by concrete buildings and living in an urban city where efficiency is a priority, I think I have far less chances to realize the seasons subtly changing such as by listening to birds’ and insects’ sounds and looking at plants whose names I don’t know.  It is natural that more and more people want to relax and their life to be affluent, so they decided to move to the country.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
森田君だけじゃなく、赤本も「季節の微妙な移り変わりを実感する」をrealize the subtle changes of the seasonsとrealizeを使って英訳してますが、これは全く変な英語です!前にここでまとめた通り、realizeは「状況を実感としてハッキリと理解する」です。これに一番近い日本語は「腑(ふ)に落ちる」です。要するに、realizeは「理解する」の仲間なのです。そして「季節の移り変わり」なんか理解したり、腑に落ちたりするものでないことは小学生で分かります。だから、realize を feel  にしてfeel the subtle changes of the seasonsとしてやります。
最近、ニッチな企業のことを「ナンバーワンじゃなくてオンリーワン企業」なんて言ってますよね。スマップの『世界に1つだけの花』の歌詞にも「ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン」というのがでてきます。この only one というのは和製英語だと言うことをしっかり覚えておいてくださいね。もし「他に類を見ない」の意味ならunique、「かけがえのない」の意味なら one and only を使います。こんな具合です。
それは政権を握る唯一の機会だった。
It was the one and only opportunity to take the nation’s helm.
でも、問題文の「1回きりのかけがえのない人生」には、この one and only は使えません。なぜなら、人生なんてもともと1回しかないからです。ましてや、赤本のように their only precious life なんて言いません。(このonlyって一体何なのでしょうかね?)それに、precious と life は普通は一緒には使いません。だって、人生や命が大切なのは至極当たり前のことだからです。もし、話が栄養失調でたくさんの命が失われるアフリカや政情が不安定な中東なんかだったらprecious lifeも考えられなくもありませんがね。こんな具合です。
そのかけがえのない命を救うために僕らは何かしなくてはならない。
We must do something to save these precious lives.
その戦争でかけがえのない命がたくさん失われた。
Many precious lives were lost in the war.
でも、問題文は人生にうるおいを取り戻すのに田舎に移住するというお話ですから、the one and only precious life はとってもヘンなわけです。薮下だったらこう書きます。
人は人生を1度しか生きられないので、自分の人生を今より豊かで満足のいくものにしようと、たくさんの人が田舎へ移り住むのは不思議はない。
People only have one life to live, so it’s no wonder that an increasing number of people move to the countryside these days hoping to make their live richer and more pleasant.
あ、森田君は「人生をうるおいのあるものにしたい」を want their life to be affluent にしてますね。残念ながら、affluentに は「お金がたくさんあって裕福な様子」という意味しかありません。田舎に行ったからといってお金持ちになれるわけではありませんよね。だからand their life to be affluentをand enrich their lifeにしてやります。それにしても、赤本の「もちろんonly precious life / precious one time lifeとしてもよい」と言い切るその自信は一体どこから来るのでしょうかね?

2 Comments

  1. wrote:

    ご存知とは思いますが。念のため。
    答案は、抜けている英文がありますね。

    水曜日, 2月 5, 2014 at 1:33 PM | Permalink
  2. wrote:

    仰るとおりです。失礼ですが、ご同業とお見受けしますが、もしかして僕が存じ上げている方ではないでしょうか?

    木曜日, 2月 6, 2014 at 7:00 AM | Permalink

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