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AKB47君の憂鬱(4)

<質問>
以下も2004年度の京都大学・大問1の英文からの抜粋と、その部分の赤本の和訳です。
Interest in science is also deeply affected by the media.  Consider that the great majority of media publications are meant to be skimmed, not studied; readers are able to retain very little specific information from a newspaper article, magazine story, or especially television or radio broadcast.  (2)This problem is due both to the style of exposure (quick, one-time reading or listening) and to the fact that there are usually many such exposures on a wide range of subjects to be consumed at a single sitting.  The popular media is not something that provides people with opportunities for concentrated learning or continuing education.  Reporters know that; they know they must write stories, not textbooks for beginners.
科学への関心はマスメディアにも大きく影響される。メディアによって発表されるものの大多数は、拾い読みするために意図されたものであって、注意深く読むためのものではないことを考えるべきだ。読み手は、新聞記事や雑誌記事、そしてとりわけテレビやラジオの放送からでは、具体的な情報を記憶しておくことはほとんどできない。この問題の原因は、情報に触れる形式(すばやく1回だけ読んだり聞いたりすること)にあり、また、通常、幅広い話題に関する、一気に読んだり聞いたりすべきそのような報道が多いという事実にもあるのだ。大衆メディアは、人々に集中的な学習や生涯教育の機会を提供してくれるようなものではない。記者はそのことを知っているのだ。つまり、彼らは自分達が書かねばならないのは記事であって、初心者向けの教科書ではないということを知っているのだ。
赤本はexposureについてこう書いています。
『exposureにはいくつかの意味があるが、ここではthe chance to experience new ideas「新たな概念を経験する機会」といった意味で使われているのだろう』
自分でも大きめの辞書を引いて確かめてみたのですが、exposureには赤本が言うような「機会」という意味はありませんでした。僕は素直に「メディアに露出する仕方」と訳したのですが、これではダメでしょうか?
<回答>
AKB47君!君の言う通りで、exposureに「機会」の意味はありません。動詞形exposeは「隠さずに露出する」が原義ですから、「物を風雨や日光に」なら「晒(さら)す」、「人を危険に」も「晒す」、「芸能人がテレビに」なら「出演する」、「秘密や正体を人前で」なら「暴(あば)く」、「人に放射線を」なら「浴(あ)びせる」、「肌を人前に」なら「露出する」となります。そして、「メディアに取り上げられて人の目に触れることを「メディアに露出する」と言いますから、AKB47君の「メディアに露出する仕方」はなかなかの名訳ですよ。
その俳優は全国ネットのテレビで取り上げられた(テレビに露出した)。
The actor has enjoyed national TV exposure.
薮下がビックリしたのは、赤本の解説者のto be consumed at a single sittingについての解説です。
曰く、『consume「消費する」はexposure「報道」を修飾しているので、ここではread or listenの意味で使われていると考える』!
ハッキリ言っておきますが、これは大嘘です!exposureは「晒すこと」、「出演すること」、「暴くこと」、「浴びせること」、「露出すること」なのですから、それをconsume(消費する)ことなんてできっこありません!!このto be consumed at a single sittingは直前のsubjectsを飾っているのです。もし「メディアに露出する」が嫌だったら、「メディアで取り上げられる」とやってやれば良いのです。こんな具合です。
いっぺんに消費されるような広範囲にわたる内容が、そんな風にメディアで取り上げられることが頻繁にあります。
There are usually many such exposures on a wide range of subjects to be consumed at a single sitting
ものすごく不思議で仕方がないのは、この解説者は「このexposureにピッタリと当てはまる日本語の単語はないので、文脈からある程度具体的に訳せばよい」と切って捨て、「新たな科学についての情報に触れること」とか「科学についての報道」と訳出してしまうところです。わけの分からない理由でexposureを「報道」なんて訳すから、exposure を consume できると勘違いをしてしまうのです。これはひどい誤訳だし、まったくおかしな解釈です。
前回の段落冒頭の疑問文といい、このexposureといい、この解説者は英語が全く分かっていませんね。好意的に解釈した薮下が間違っていました。リクルート社が大学入試の過去問を業務として扱うようになったのも分かるような気がします。赤本さん!完全にナメられてますよ!

6 Comments

  1. wrote:

    サイトを拝読させていただいております。
    恐縮ですが、質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

    英文和訳道場第31回
    If so, your (understandable)ignorance of this is more medical ignorance than ignorance about the English language, and is anyway quickly remedied with the help of a dictionary.

    この箇所を次のように訳してみました。不適切な点がありましたらご教示願えれば幸いです。
    「たとえそうだとしても、この言葉を知らないということは、英語がわかっていないということよりも、むしろ医学の知識が欠如しているということであり、とにかく、辞書の助けがあればすぐに改善されるのである。」

    土曜日, 1月 19, 2013 at 2:22 PM | Permalink
  2. wrote:

    learnerさん!learnerさんの訳には不適切な点は全くありません。文句のない完璧な日本語だと思います。それに対して、薮下がやっている【全訳例】は全くの誤訳です!

    【全訳例】
    たとえそうだとしても、この言葉を知らないことは無理からぬことであって、英語の教育を受けていないことに比べれば、治療可能な無知だし、辞書の助けがあれば兎も角もすぐに治療できるのだ。

    先ず、ignorance about Aはここでは「Aに関する無教育」ではなく「Aについて知らないこと」でないといけません。それにmedical ignoranceは「治療ができる無知」とか「対処が可能な無知」なんて意味ではありません(全くバカな訳語を当てたものです)!そして、何よりもmore A than B(BというよりもむしろA)が訳出できてません。learnerさん!ご指摘ありがとうございました。また気付いたことあればどんどん教えてくださいね。

    土曜日, 1月 19, 2013 at 9:01 PM | Permalink
  3. wrote:

    ご回答いただきありがとうございました。
    重ねて恐縮ですが、気になった点がありましたのでまた教示願えれば幸いです。

    英文和訳道場第37回
    When Red Riding Hood visits her grandmother she finds that a wolf has wrongfully taken the grandmother’s place.

    この箇所を次のように訳してみました。よろしくお願いいたします。

    「赤ずきんがおばあさんを訪ねると、彼女はオオカミが邪悪にもおばあさんと入れ代わっているのに気づく。」

    水曜日, 1月 23, 2013 at 5:53 PM | Permalink
  4. wrote:

    learnerさん!ご指摘、ありがとうございます。このtake one’s placeを「場所を占拠する」と訳しちゃダメですね。
    【全訳例】赤ずきんがおばあさんを訪れるとき、彼女はオオカミが不当におばあさんの家を占拠しているのを知る。

    これは「①いつもの場所にいる、定位置につく」か「②人と交代する、後釜に座る」のどちらかになります。ですから、この英文はご指摘の通りで「オオカミがおばあさんと入れかわる」が正しい訳語です。そして、wrongfullyは「法や道理に反する」が原義ですから、「①不法にも、不当にも」か「②非道いことに、邪悪なことに」のどちらかになります。謹んで訂正いたします。

    水曜日, 1月 23, 2013 at 8:08 PM | Permalink
  5. wrote:

    お世話になっております。
    早速ですが、「今枝君からの質問 水曜日, 2月 20, 2013」に関しまして質問をさせていただきます。

    Hardly a meal was finished without the children jumping up to consult that dictionary.

    上掲の文は“Hardly was a meal finished”という倒置による文否定形ではないので、「食事が終わるとすぐに、子供達はその辞書を引くために(辞書の所へ)飛んでいった。」と訳すのは妥当ではないと考えます。
    “Hardly a meal was finished”においては、 “Hardly”は“a”に係る語句否定なので、「子供たちが席を立ってその辞書を引くことなしに終わる食事は、ほとんど一つもなかった。」つまり、 「食事の際には必ずと言っていいほど、子供たちは席を立ち、その辞書を引いたのであった。」と訳してみました。

    ご教示のほどよろしくお願いいたします。

    なお、The first thing he did when he came to spend the winter with us as to bring a big dictionary into the dining room.この文中の“as”は“was”かと思います。

    水曜日, 2月 20, 2013 at 10:26 PM | Permalink
  6. wrote:

    learnerさん!いつも目を通していただいて、毎回適切なご指摘をいただけることを心から感謝していますよ!「Z社長からの質問」や「?さんからの質問」でも書いたのですが、「食事が終わるとすぐに、子供達はその辞書を引くために(辞書のところへ)飛んでいった」の薮下の訳語は、hardlyをwas finishedにかけて訳してしまっているので不適切でした。これは前のブログで謹んで訂正いたしました。だからといって、残念ながら「食事の際には必ずと言っていいほど、子供達は席を立ち、その辞書を引いたのであった」の訳語にはなりません。

    「?さん」の時と同様に、learnerさんも「終わる食事」と、動詞was finishedを形容詞化して「食事」にかぶせてしまってます。そうしてしまうと、2重否定を強い肯定文に上手く転換できなくなります。つまり、転換元は「子供達が席を立ってその辞書を引くことなしに終わる食事はほとんど1つもなかった」ではなくて「子供達が席を立ってその辞書を引くことなしに、食事が終わることはほとんど一度もなかった」じゃないといけません。

    僕らが英語を読むときに、母語である日本語の影響が多分にあって、正しい解釈を妨げているのではないかと考えます。でも外国語の学習から母語の影響を完全に排除することはむずかしいですよね。あ、asとwasは訂正させていただきました。ご指摘ありがとうございました。

    木曜日, 2月 21, 2013 at 9:44 AM | Permalink

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