学年通信

学年通信の当番だったので,こんな文章を書いてみた。

国立情報学研究所などが開発した人工知能「東ロボくん」がセンター試験の模試に臨んだ結果についての報告会が先日行われました。テレビのニュースなどでも取り上げられたので,その話を耳にした人も多いのではないかと思います。実際のところ,まだ目標とするレベルには到達していませんが,それでも科目によっては平均点以上の成績,多くの大学でA判定を取る程度の結果は出したそうです。コンピュータのプログラムに過ぎない人工知能がこのような結果を出したことについて,どのようなことを考えましたか。

以前はコンピュータを使うにあたっては,コンピュータが扱いやすい形に問題を整理することが必要でした(場合によってはそのためのプログラムを開発します)。それは人間にしかできないことだと従来は考えられていました―人間が問題を解決するためにコンピュータを下働きに使うのだ,それが逆転するのはSFの世界の話だ,と。しかし,人間用に書かれた入試問題を一部の人間よりも良い成績で解くことができる,人間のための指示を平均的な人間よりもうまくこなせる可能性が既に示されました。それに,実際に人間がコンピュータの下働きを(非常に安価な報酬,あるいは無報酬で)する現場はもう既に存在しています。たとえばAmazon メカニカルタルク,画像や動画サイトなどのタグ付け,…。

コンピュータは人間よりも安い経費で働くことができます。このことを言い換えると,コンピュータと同程度(あるいはそれ以下)の仕事しかできない者に高い賃金が与えられることは今後なくなるということです。そのような仕事を割り振る先は日本のような人件費の高い国でなくてもいいのですし。

「一を聞いて十を知る」のが人間の頭脳の優れた点です。一方コンピュータによる人工知能は「一兆を聞いて十を知る」アプローチを採用しています。暗記ばかりで勉強を乗り切るのは後者のアプローチですが,それでは決してコンピュータに勝つことはできません。人間は一兆を聞くことができませんから。さあ,どうやってコンピュータに勝てばいいでしょうか。

期末テストを目の前にしている君たちにしてみれば,少しでも効率よく勉強したい,余計なことはしないで済ませたいという気持ちが起きるのは,ある意味しかたないことです。しかしそのことが「劣化した知識」を貯めこむことになってしまうことを危惧します。点数をとるための最適化はしばしば劣化を伴い,悪貨が良貨を駆逐するように,点数をとる以外には役に立たない知識が蓄積されます。

内田樹は橋本治との対談の中で,十代の若者のコミュニケーションについて今は,傍で聴いていると,ほんとにストックフレーズが行き交っているだけなんです。出来合いの言葉をひたすらハイスピードでやり取りしてる。語彙もわずかだし。そうでなければ,うちの子もそうでしたけど,沈黙している。と述べています(ちくま文庫『橋本治と内田樹』から引用)。十代の感情なんてそんな単純に表現できるものじゃないはずだろうとか,単純な表現ばかりしていると単純な考えや単純な感情しか持てなくなってしまうとか,言いたいことはいくつかあるのですがここでは割愛します。確認テストや定期テストに出される問題には「ストックフレーズ」で処理できてしまうものも少なくありません。しかし耳あたりのいい言葉を並べただけの歌詞が時間の消費でしかないように,ツルツルしたストックフレーズは何も生み出しません。無理やり紡いだザラザラの言葉で沈黙を破ることでしか,新しい考えは生まれません。「○○を勉強して何の役に立つんですか」というような質問がありますが,それはわざわざ何の役にも立たないように勉強している者の錯覚からくるものでしかないと考えています。

1964年の東京オリンピックの頃に現れた新幹線やテレビの新技術は社会を変化させました。2020年の東京オリンピックのときにはどんな変化が起きるのでしょう。「東ロボくん」は2022年までに東大に合格することを目標にしています。それが実現されるまでに,少なくとも教育は変わっているはずです。

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詰め込みとか詰め込みじゃないとか

同僚との会話から。詰め込みとか詰め込みじゃないとか,勉強しないとかいろいろ言うけど,「勉強する」ってことがどういうことかわかっていないだけじゃないのかな。だから覚えるべき事柄とどうでもいい事柄の区別がつかず,ひたすら頭に詰め込もうとするから本人は詰め込みだと感じてしまう…とか,勉強するという行為がもっと明確にわかってればそれをするけど,何をしたらいいのかわからないから手をこまねいている…とか,そんな状況があるような気がしてならない。

「勉強ができる」というのは成績がいいことを表すんじゃなくて,勉強という行為を実行できるということを表してるんだと思うな。

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合宿の準備

来週合宿なのだが,詳細が決まっていない。そんなわけで前顧問とキャプテン以下部員3名で試合の後でミーティング。部員たちがいろいろリアルに真剣に考えているので,いい話し合いができたように思う。なんだかすごくホッとした。

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研文書院が廃業

2日ほど前に飛び込んできたニュース。「大学への数学」(雑誌の方じゃなくて黒い表紙のやつ)の研文書院が8月いっぱいで廃業するとのこと。私は高校生のときにはお世話になっていない。東京出版から出てる雑誌の「大学への数学」と河合塾の「名大数学のすべて」で力をつけた。黒表紙の方は教員になってから勉強のために買った。数学的な知識のためではなく,教え方のヒントを得るために。

この時期を境に廃業ということは,新課程に対応するつもりはないということなのだろう。スラッシュドットのストーリへのコメントで,そのことに言及してる人は現時点ではいないようだ。

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ITのIは「俺」

スラッシュドット・ジャパンの「IT部門が嫌われる理由」というストーリーにあった投稿を読んでふと思った。いわゆるライフハックって「俺テクノロジ」だよな,と。手帳を使い,パソコンを使い,スマホを使い,マインドマップを描き,情報カードも持ち歩く。それらはすべて「俺」をうまく利用するためにやってることだ。

だからメディアセンターの情報教室の入り口に”Information Research Room”と書いてあるのが気に入らない。Informationをどこかから探してくればそれでいいのか?Informationは「俺」が作るものじゃないのか?そのためにはプログラミングも必要だし,統計も必要だから,生徒にそういったものを学んでもらいたい。なんとかしてカリキュラム化したいのだがなあ。

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体育祭

人工芝のグラウンド今年はせっかく新しい人工芝グラウンドができたからということでそちらで。確かに気持ちいいわ。私でさえなんとなく体動かしたくなるもんな。

写真はずいぶん撮ったが,さて,どう使おう。

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文化祭終了

終わってしまうとあっという間。中学生のモザイクアートがすごかった。

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日本情報科…3周年記念フォーラムで考えたこと

外のブログで書いたけど,こちらにも転載しておこう。

経産省が定義づけた「社会人基礎力」に つながる力のいくつかを,情報科は背負っているように思う。チームワーク力とかコミュニケーション力とか(体育もやってるかな)。そういったものを,情報 科だけが背負うべきなのだろうか←これを疑問文にしたのは2つの意味がある。1つは,他の教科でも当然やるべきものだから振り分けて実施してもらえば(あ るいは私が何度か口にしている「勉強科」を作って行なう),情報科として真にやらなければならないものだけが残るだろうということ。もう1つは,情報科が これを背負うことによって,生徒たちに不可欠な教科としての地位を確保することもできるだろうということ。次の学習指導要領に向けて,どちらかに舵を切る のだろうか。

いまどきは大学生にノートのとり方か ら教えなくてはいけないというケースもあるという。勉強の仕方そのものがおかしくなっているのだろう。高校までの学校の勉強は,情報科を除いてすべて(川 喜田二郎氏が『発想法』でいうところの)書斎科学になってしまっているように思われる。一方,情報科は野外科学であることを求められている。この違いは ノートのとり方にもあらわれてくる。書斎科学であるなら,現資料はずっととどまったままだ。だから板書を写すということでとりあえずのノートはできるし, 教える側もそれで満足してしまう。たいていの場合,生徒に要求するのは教えた内容の「再現」だからだ。そしてすべては形式だけを整える儀式になる。

従来教科は学習指導要領が変わっても 何も変わらない。もちろん単元の加除はあるが,ただそれだけだ。ただ入試という「競技」のために特化し,その結果として学校の勉強がガラパゴス化している (国際競争力の足しにならないという意味で)。たとえば数学の「データの分析」は(教科書会社方面から漏れ聞くところによると)できるだけ軽く扱われよう としているようだが,そういうのを聞くと彼らには日本人の統計に対する弱さへの危機感とかなくて,ただ国内競技の成績だけを気にしているようにしか思われ ない。この改訂なんて「迷惑なルール変更」としか考えていないのだろう。

何人かから共通して出たのは,情報科 教育の質保証・質向上はつまるところ教員のそれであるが,その妨げになっているのは,たとえば他教科との兼担であり,職場内SEという役割だということ だ。その点では私は恵まれた状況にあると言えるだろう。今は情報だけを担当しているし,職場内SEであることを業務と位置づけてもらえている(もちろんそ れを勝ち取る苦労はあった。ネットワーク管理を業務と位置づけられるまでに十年以上かかったし)。しかしそれは必ずしもすべての情報科教員にあてはまるこ とではない。かといって,私が今の状況を作るために何年も声をあげ続けてきたのと同じことを他の人たちもやれというのは現実的でない気がする。

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私は英語が苦手だった

中学・高校時代,英語は得意教科だった。学校の試験の成績は良かったし,模試などでも得点源と考えていた。しかし仕事で英文を読むようになってつくづく思う…俺って英語読めないなあ。

そう思って振り返ってみると,実は中学や高校の頃って英語読めなくても「試験」では点が取れるのね。というのは,長文で使われる文章はたいてい何の話かがわかれば中身の想像がつくものばかりだったからだ。だから「わからないことを英語で読んでわかる」必要がなかった。

試験はそれでよかったのだけど,仕事で読むのはわからないことを読む(わかってることだったらわざわざ読む必要がない)のだから,そこでボロが出たということだ。

…というようなことを,考えるのが好きだったというブログの読み取りが先か背景知識が先かという記事へのコメントに書いたので,こちらにも同じことを書いておく。

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